Tuesday, March 15, 2011

科学的情報(03/15/2011付け)

京大 助教の方の日記の転載


・京都大学原子核工学専攻の公式見解ではなく、あくまで個人「秋吉優史」での発信である
・かなりはしょった部分があるので、厳密さに欠けている部分があります。専門家の間でも統一的見解とはなっていない部分もあります。数字、結果の独り歩きには極力注意して下さい。
・より詳しくは、リンク先の専門機関のサイトを見てみて下さい
・違うことが書かれている、と言う部分がありましたら秋吉までご連絡下さい
・心配しすぎるのもダメですが安心しきって舐めるのもダメです。自分の頭で判断した上で行動して下さい。私は全ての安全を保証する立場ではありません。
・安全に非難できるのであればそれは一つの効果的な対処法です。パニックにならず冷静に対処して下さい。 

Q: 放射能と放射線の違いって何
A:「放射線」を出す「能力」 のことを「放射能」と呼びます。 
放射線を出す能力のある物質から、四方八方にビームのように放射線が飛んでいきます。たくさんビームを撃つと、放射能が強い、と言うことになります。日本語では、「放射線を出す能力のある物質」も放射能と呼んでいるので、ややこしくなっています。 

Q: シーベルトって何
A: 要は放射線によってトータルで体がどれだけダメージを受けたか、です。これを1時間あたりどれだけ、とした物が、毎時○Sv とか、Sv/h とか書かれる単位です。 


Q: どれぐらい浴びるとやばいの
A: 「確定的影響」として、数日程度の短い時間に、0.15 Sv の被曝で男性の一時的不妊、0.25 Sv でリンパ球の減少などの症状が現れ、3-5 Sv で半数の、7-10 Sv 被曝すると、ほとんどの人間が死んでしまいます。この影響は割と分かりやすいかと思います。が、滅茶苦茶高い線量ですので、一般公衆がこんな線量を浴びることはあり得ません。 

問題はもっと低い線量での「確率的影響」で、がんの発症する確率は、放射線の量と比例関係にあり、線量が増えるほど発症率が高くなります。 

例えば、10mSv 被曝すると、100万人のうち 20人が一生のうちいずれかの時点で白血病を発症し、他のガンの発症の確率も全部合わせると、1万人に一人が発症すると言われています。 
確定的影響で即死してしまうような数Svを浴びたとしても、(そのまま何十年も生き続けたとして)数パーセントの発症率でしか有りません。 

不便な避難所に移動して風邪をこじらせて肺炎で死んでしまう確率の方がずっと高いのです。特に高齢者では被曝から発がんまでの潜伏期間を考えると、発がんリスクはもっと小さいと考えられます。 

他のリスクと比較すると、120本のタバコを1年間吸い続けた人の発ガンの確率は、70280 mSv の放射線被ばくに相当するそうです。11本を1年間吸っているだけで、10 mSv 以上の被曝に相当すると言えば、今回の事故での被曝量がどの程度体に悪いか、想像が付くのではないでしょうか。 


Q: 原発以外で放射能はあるの
A: そこらじゅう放射性物質だらけです。 
石ころにも、土にも、海水にも、色々な放射性物質 = 放射能 が含まれています。人間自体にも体重 60kgの日本人の場合 4000Bq カリウム40 という放射能が含まれています。この放射性同位元素から常に人間は放射線を浴び続けています。 

農作物にも微量ながら放射能が含まれていて、元々含まれている量がきちんと測定できています。もしそれ以上の放射能が入っていたら当然測定することが出来ます。 
検出できないと言うことは、元々普段食べているものに含まれる量より少ないと言うことなので、もしかしたらちょっとぐらい・・・などと心配する必要は全くありません。 


Q: では日常生活でどれぐらい放射線を浴びているの
A: まずは自然界から浴びる放射線です。 

上で説明したシーベルト(Sv)と言う単位を使うと、世界平均の値で 

宇宙からやってくる宇宙線: 0.39mSv/年、 
地面に含まれる放射性同位元素から出てくる放射線: 0.48mSv/年、 
食べ物に含まれる放射性同位元素から: 0.29mSv/年、 
空気中に含まれるラドンなどから: 1.26mSv/ 

合計すると 2.4mSv/年になります。 

地面からの放射線は地域によって異なります。 

神奈川 0.81mSv/ 岐阜 1.19mSv/ 

一年で 0.38mSv も違います。ブラジルのガラパリなどでは10mSv/年にも達します。また、日本では木造建築が多く、ラドンによる被曝が少ない(石造りやコンクリートの建物だとラドンガスが多く発生して溜まりやすい)ため、自然界から受ける放射線全部合わせて約 1mSv/ です。 

それに加えて、飛行機に乗ると宇宙線を多く浴びます。欧米への国際線に1回乗ると 0.1mSv 程度被曝します。 

またレントゲン撮影などの医療によっても被曝します。 
肺の単純レントゲン撮影で、50?Sv 
バリウムを飲んで行う胃のレントゲン撮影で 0.6mSv 
全身 CTスキャンでは 6.9mSv も被曝しています。 

でも、ほとんど問題になりません。 
生物は、太古の昔から放射線にさらされ続けてきたのですから。 
放射線を受けて、DNA が損傷してもそれを回復する仕組みが生物には備わっています。 


Q: 今回の事故ではどんな放射能が放出されているの
A: まず、最初のうち放出されたのは全て気体元素であったと考えられます。 
まずは核分裂によって発生する希ガスが考えられます。 
最も半減期が長いキセノン-131m でも 11.8日程度で半減します。そして、希ガスはほとんどの物と化合しないため、ほっとけばどこかに拡散していきます。 

特に注意が必要なのはヨウ素の放射性同位体で、化学的性質は普通のヨウ素と同じですから、甲状腺に取込まれてしまいます。ただし、事前にしっかりとヨウ素を摂取していて、「満タン」の状態にしておくと、それ以上ヨウ素を摂取してもそのまま体外に排出されます。事後であっても徐々に同位体置換されますから全く無意味でもありません。ヨウ素131 自体の半減期は8日と短いですが、出来る限り早く排出する必要があります。 

このため、原子力災害があると、ヨウ素剤が配られることがあります。ヨウ化カリウムという化合物で、吸収しやすくなっており、急を要する場合に用いられます。ただし、ヨウ素は大量に摂取しすぎると、過剰摂取による害が知られています。 
http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/199401041.html 
予防的に昆布などのヨウ素を多く含む食品を摂取しておくと安心だと言えますが、過剰摂取にならない範囲で、奪い合いしてまで食べないように

事故が進むにつれて、気体でない元素が検出されました。燃料が超高温になって放出されたようです。 

報道でも出てきたセシウム137 は最も代表的な放射性同位元素の一つで、核分裂して出来た生成物の中に含まれます。性質はカリウムとよく似ているため、主に筋肉に蓄積されます。セシウム137 の半減期は 30年程度ですが、次第に排泄されて日本人成人の場合 85日で半分になるそうです。 

また、ストロンチウム90 と言う核種も、今回報道には出てきませんでしたが、同じく代表的な核分裂で出来る放射性同位元素です。これはカルシウムと性質が似ているため、骨に蓄積されます。 
ですが、本来の構成元素であるカルシウムが十分摂取できていればこの沈着量は少なくなります。また、ビタミンDの摂取により骨の代謝が活発になり、ストロンチウムは排出されやすくなります。 


Q: 汚染されてしまったらどうすればいいの
A: 放射能による汚染と言っても、特別なことが起こっているわけではありません。 
ごく普通の物質と同様に、体や衣服の表面にくっついているだけです。衣服であれば軽くはたいたり、洗濯してしまえば大抵の汚染は除去できます。 
体の表面に付いた汚染は、水で洗い流すか、せいぜい中性洗剤で洗う程度で取れます。 

問題は、体の中に入ってしまった場合です。 
肺の中や、消化管に入って体に吸収されてしまうと、なかなか出てきません。汗を流すなど代謝を高めれば、デトックスではないですが、放射能は早く排出されますし、上に書いたような特定の元素だと分かっている場合はいくつか対処法がありますが、その間ずっと被曝し続けます。 

このため、家に入る前にホコリを払い、マスクやうがい、手洗いによって体の中に入れないことが大切です。部屋の換気も注意する必要があります。何のことはない、杉花粉やインフルエンザ対策と同じ事です。 
なお、エアコンは、部屋の中の空気をぐるぐる回すだけですから、外気を取込むことはありませんので、我慢する必要はありません。 

また、元記事にある外部被曝を気にして部屋の中心にいるというのは全くナンセンスです。よほど強烈な放射能汚染に自宅を囲まれたのであれば話は別ですが・・・ 

~~~追加~~~ 

Q: 福島第1の三号機はMOX 燃料を使っていてプルトニウムが入っているんじゃないの
A: 仰るとおり、福島第一三号炉はMOXを使い始めたばかりです。 
この燃料にはプルトニウムが含まれています。 
が、普通のウラン燃料でも、使ううちにプルトニウムが生成しますので、 
量の差が多少有りますがそれほど大きな違いはありません。 


Q: 核爆発は起きないの
A: 報道でも繰り返し有ったように、原子炉の「核分裂反応」自体は地震直後に自動的に止まっています。 
原爆などはこの核分裂反応がねずみ算式に増えて、大爆発しますが、原子炉は元々反応がそんなに進まないようになっている上に、反応を止めてしまう制御棒がしっかり差し込まれています。 

ただし止めた後も、じわじわと熱が出てきます。運転時の0.2%程度なのですが、元の出力がでかいので 5000kW 以上になります。ドライヤー5000本ぐらいでせっせと暖めている状態です。これを冷やすための水が無くなってしまったのが今の状態です。核反応的には急激な反応はないですが、水と接触したりすると水素爆発や水蒸気爆発の可能性があります。 

これらの爆発は、規模はとても小さいですが、これによって放射能がまき散らされるととんでもないことになります。 
が、核爆弾のような大爆発は絶対に起こりません。 
溶けてしまって配置が変わった炉心でも核反応が起こらないようにホウ酸水も注入してます。ホウ素は、核分裂反応をストップさせる働きがあります。 

現状では、原子炉の「外」で水素爆発が起こっていて、滅茶苦茶頑丈な格納容器内部には影響がないのですが・・・(一部配管に破損があったようですが) 
とにかく事態の推移を見守るしか有りません。 
今はとりあえず落ち着いた状態にあるようです。 

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